迫る最期II

今回実家に帰ったのには、もう一つ理由が。去年に引き続き、父と共に祖父母の家に訪れるという約束をしていたのだ。
祖父母の家には偶然なのか意図的なのか知らないが、普段こういう場にあまり顔を見せない伯母(父の姉)もいた。何でも、父と伯母は震災以降久しぶりに会ったのだという。奇しくも二十数年ぶりに集まった面子。とにかく話は尽きず(伯母の仕事の愚痴話がかなりの割合を占めていたが)、昼過ぎから夜近くまで話し込んだ。

基本的には全員元気(祖父が同じ事を何度も聞き返したりするなど、やや心配な面があるが)。
なのだが、なぜか話題は「死」について半分本気・半分冗談な口調で話し込む事が多かった。確かに、まだ元気とはいえそんな年齢に近づいている(祖父:87歳、祖母:80歳)。15年、20年後も変わらず居るのかと言われると、居ない可能性の方が高い。縁起でもない話だが、仮に祖父母が亡くなったら、当然父や伯母が面倒を見るのだろうが、父が亡くなった場合はどうするのだろうか。

己の都合で、母や自分の人生に大きな足枷を作ることになったのは100%間違いなく父が原因だし、自分が家庭を持つ際には父と同じような事だけは絶対にしたくない(これは去年父に会った時に面と向かって言った)。今現在会うようにしているのも、「(血縁的には)父だから」という理由で会ってるだけで、決して過去の経緯を水に流した訳ではないし、解せない部分も多くある。実際の会話も一枚も二枚も何かを挟んだ上でやっと成立するもので、かつての様に親子として自然に会話する事は現在もできないし、今後も多分二度と出来ないと思う。(それはさすがに父も理解しているのか、かつてほど「父の威厳」を押し出した言動を自分に見せたりしなくなった)

とはいえ、戸籍上は父であるのに違いないし、十数年の間だけはちゃんとした「父」だったのも事実なので、来るべき時が来たら、どんなに憎くても筋は通さなければならないのだろうと思う。純粋な気持ちで送ってやる事は絶対に出来ないだろうが。