限りなく青に近い黄信号

日曜日に探し出した7件目の物件。
土曜日の物件はやや拒絶反応気味だった嫁さんの両親の評価は一転し「涙流して喜んだ」らしい。

ところが、今度は嫁さんの態度がおかしくなり始めた。
曰く「自分の要望ばかり叶えて貰う形になってしまい、あなたに対して申し訳ない」。つまり、自分の実家に近くなってしまった事で、自分の親が頻繁に新生活に介入してしまうのではないか。そうなれば、よりあなたは精神的に辛くなるのではないか。と言うのである。電話ではラチが明かないと思い、仕事帰りに直接嫁さんの実家に出向いて、みっちりと2時間話をして、納得させた。(お義母さんも居たので、交えて話を聞いてもらった)

自分の実家も父方の祖父母の家に近い。今は足腰が悪いので無理だが、昔はよく祖父母が実家に来ていた。だから、相手の実家に近い距離に住むという事は、それなりの相手の親の介入があるかもしれない事ぐらい簡単に予想できる。

ただ、自分は既に人生の半分以上を母子家庭で過ごしてきた人間である。「親との交流」という面において、少なくとも20年近くは不十分な状態で生きてきた。一人暮らしは今年で11年目だが、両親が離婚して以降、母は夜遅くまで働いていた為、学校から帰ってきても誰も居ない“1.5人暮らし”状態も中学1年~高校卒業まで続いた。母子共々能天気なO型のせいか、そんな生活状況に対してお互いに一度も不満を漏らさず、むしろ楽しんでいたぐらいなのだが、心のどこかでは一本芯が抜けた様な感覚である事は否めなかった。

そんな中で、義理とはいえ新しい父と母が出来たのだから、積極的に交流を持って、孤立に近い今の状態から抜け出して、かつての父も母も居た頃のようなレベルの精神に近づきたい、という思いがある。本当の親ではないし、自分が柱になって新しい家庭を築くのだから、そうそう甘える事も許されないだろうが、精神的には今よりも確実に安定する。少なくとも今よりマイナス幅には振れない。

仮に介入されたとしても、要はそれが過剰(毎日の様に家に訪れる、など)でなければ良いだけの話で、適度ならばこちらとしては子供が出来た際でも何かあれば預けられるし、その他の面でも色々と助言してもらえるだろう。言い方は悪いが、うまく使えばこれ以上の味方はいない。

自分の母は、電話等で間接的にはバックアップ出来るだろうが、孫の面倒を見るなど直接的なバックアップが出来る余力(今の所体力面ではなく、主に時間面=金銭面で)が残っていないので、尚更そういった面では相手のご両親に助力してもらわなければならない時が必ず来る。それに、24時間自分のすぐ隣にくっついている訳ではないし、相手の親だって自分たちの生活がありヒマではない。今、皮算用な心配をしたって損なだけだ。

「自分たちの城(=生活)が崩される」というリスクと、収入・時間・社会的にどうしても乗り越えられないリスクとどっちが重いかと考えたら、どう考えても後者。自分たちだけでいきなり難攻不落の「城」なんて建てられるはずはない。どんな形であれ、親の力を借りないと自立なんてできないのだから、立場を弁え、依存できる内に依存しておいた方が総合的に考えれば楽だ。