迫る最期

久しぶりに実家PCのメンテナンスのために実家に帰る。そこで、耳を揺さぶる事を母が口にした。

「今年中に、この家から引っ越そうかなぁって思ってる」

現在の実家は1985年9月に引っ越してきた(以前、戸籍謄本を見せてもらった時に確認)。
母は父と離婚後もこの家に住み続けているが、父方(母にとっては元夫)の祖父母の家がすぐそばにあるという事もあり、祖父母と現在も特に険悪な関係ではないのだが、かといって以前の様に密接な関係ではなくなっているので、やはり母にとっては居づらい環境。さらに自身も再婚が見え始めている状況で、ついに現在の家に住み続ける理由が無くなってしまったのだろう。それに加え、自分で言うのもなんだが息子も独り立ちしいい年になり、さらに結婚も見え始めているという事も後押ししたのだと思う。

だが、息子の自分にとっては、父が出て行き新しい家庭を作り、母も新しい家庭に入り、そして自分が生まれ育った実家も無くなってしまうという事になると、形式上、自分が「舞い戻れる場所」はどこも無くなってしまう。実質的には母の新しい家が「第二の実家」となるのだろうが、今のように実家に帰る感覚ではとても立ち入る事は出来なくなるだろう。母の苗字が変わってしまう事になればなおさら、自分は文字通り「孤立」すると思う。

現在自分が住んでいる家はあくまで「とまり木」に過ぎず、決して落ち着いてはいけない場所だし、壊そうと思えばいつでも壊して作り直せる状態にある。自分が帰れる場所はもうじき無くなるのだから、これから自分自身の手で新しく作っていかなければならない。そして幸いにも、今まさにそれを作ろうかと構えている段階まで来ている。今回の出来事を機に、自分自身の今後を決断する時期も、だいぶ早まる事になると思う。

まあ、いつかは起こるべき事だったんだから、別に抵抗も悲観もしない。複雑な感じがするのはどうしても拭えないが。