阪神イズム

1985年の阪神優勝時に道頓堀川に投げ入れられた、カーネルサンダース人形が、24年ぶりに発見された。

特定の野球ファンが起こした、四半世紀前の出来事の事後についてこれほどまで大きくニュースに取り上げられるのは極めて異例なのではないか。それほど、1985年の優勝と、それから2003年まで18年に亘っての低迷が“阪神タイガース”というプロ野球チームのカラーとして、未だ強烈な印象を残しているのではないかと思う。

実態はもちろん全く関係ない。阪神よりも長期間優勝してないチームも、今や数多くある。
特に、2003年の異常な強さでの優勝以降にファンになった人は、阪神が過去に、こういった全く根拠のない伝説に責任転嫁したくなるほどの負け犬根性を持たれる状況に置かれた事を知らない人が多いと思うが、1986年から2003年に優勝するまで(厳密に言うとノムさん最終年の2001年まで)の阪神のチーム状況は、今では考えられないほど好転しなかった。そういった長期間に及ぶ弱さを露呈してしまったからこそ、尚更こういった過去の事件の後日談が、未だにここまで話題になるのである。

近年は2005年から4年連続Aクラスなど、かつての低迷ぶりはすっかり影を潜めたものの、やはり阪神はこういった世間からすればどうでもいいような話題においても、現実味を持って話題に取り上げられるような、独特なチームカラーを持った球団なのである。つまり、「アレやでアンタ? 阪神が日本一になられへんのは、カーネルサンダースの“呪い”なんやでぇっ!?」なんていう理論は、今となっては完全に関西独特のギャグに過ぎない。「そんなんも面白いでっしゃろ?」と、わざわざ一つの話題として起こしているだけの事。

関西に住んでる人全員が、そういった事を“生活の一部”として通用するほどのレベルで捉えているなどと、決して思わないで欲しい。なんだかんだ言われようが、同じ日本人なんだから。『木を見て森を見ず』までとは言わないにしろ、せめて『森を見て木を見ず』的な先入観は持たないで欲しい。