今年の漢字は「絆」。
阪神・淡路大震災、オウム事件で安全神話が崩壊した1995年の漢字は「震」だった。
和歌山毒物カレー事件のあった1998年は「毒」。アメリカ同時多発テロのあった2001年は「戦」。新潟県中越地震や、集中豪雨が相次いだ2004年は「災」。
こうして考えると、ある特定の地域は甚大な被害を受けていても、他の地域が平常運転だった年は、暗いイメージの漢字が採用されている気がする。つまり当事者でもない第三者が、自分には何も災いが降りかからなかったが故に「今年はこんなすごい事があったよな」と振り返れるような、心に余裕のある人が大勢いる、という事。当事者からすれば、「いやいや、そんなんで終わった出来事扱いすんなよ！まだこっちは壊れたままやねんぞ！！」と言いたくなる。少なくとも1995年はそう思った。
ただ今年は、東日本大震災に原発事故が起きた為に、被災地だけではなく日本全体が多かれ少なかれ何らかの被害・影響を受けて、未だに落ち着いていない側面もあるから、たかが漢字一文字で一年を振り返られるほど、日本人にまだ心の余裕がないのかもしれない。だからこそ、「ああ、今年はもう“絆”で。」という言わば当たり障りの無いような落とし所、もしくは安堵感を無意識に求めたのだろう。
来年はもうちょっと余裕が出来るだろうか。
