六甲のおいしい水

どうやら、今岡が少なくとも今年限りで阪神のユニフォームを脱ぐらしい。

でも、正直ここまでの実績を残せる選手だとは全く思っていなかった。
暗黒時代の時点では、あぁ、この人はずっと2割6分・10本打てばいいとこの選手なんだろうなと思っていただけに、2002年~2005年の覚醒ぶりには、笑ってしまうほど驚いた。よもや首位打者まで取るとは。

ただ、2006年以降はすっかり元通り、というのも実に阪神生え抜きの選手っぽい(本人は不本意だろうが)。
阪神の選手は、そんなもんでいいと思うし、本当の阪神ファンならば、その方が逆に愛着を持ってくれる。放っておいても2桁勝利、放っておいても3割、なんて選手が出てきてしまったら、底なしの欲望を持つ阪神ファンに高水準の成績を長期間に渡って要求されるハメになり、相当な度胸と図太さがなければ務まらないと思う。それを務め上げた、江夏さん、村山さん、井川などはそれだけ凄い選手だったのだと思う。(そんな自覚が本人達にあったのかはさておき)

少なくとも、今まで中途半端な成績だったが、今季防御率2割台、2桁勝利が目前と大ブレイクを果たしたと言っても良い、能見篤史にはそんな屋台骨を支えるようなキャラは無理じゃなかろうか。ヒーローインタビューの“何度こなしても消えない緊張っぷり”は今までの阪神には無かったキャラなので面白いのだが、あまりにもいい人過ぎ、小心者過ぎて、過度な期待を寄せられると簡単に潰れてしまいそうな気がする。

阪神タイガースというチームのファンを長く続けるならば、あくまで優しく見守っていく姿勢が必要なのだと思う。Aクラスが当たり前みたいな感性でいたら、暗黒時代に突入した途端に興味が失せてしまうだろう。